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最悪の災厄フィロキセラ

最悪の災厄フィロキセラ

今回は恐らくワインの歴史上最大の危機であるフィロキセラ禍について書いていきます。

そもそもフィロキセラとは何なのかというと

ずばり

 

アブラムシです。

 

アブラムシが最大の危機?と思うかもしれませんがこのフィロキセラはブドウの葉や根に寄生する害虫で、寄生されたブドウの木は栄養をフィロキセラに吸われてしまい、数年で枯れてしまいます。ウドンコ病等カビの菌に起因するブドウの病気は農薬によって予防することが出来ましたが、ブドウの根に直接農薬をかけることも出来ない為やられ放題だったわけです。1860年代にフランスから始まったフィロキセラですがフランスだけに留まらず、イタリア、スペイン等ヨーロッパはもとより世界中に広がっていきました。

フィロキセラの被害は実にヨーロッパ全体の1/3もの畑を枯死させるという凄まじいものでした。当時の日本でも大きな被害が出ています。

人類が全く為す術が無かったフィロキセラですが現在も美味しいワインが飲めているということはどうにかできたという事ですよね。

その方法とは「接ぎ木」という手法で、当時ヨーロッパのブドウの木はフィロキセラに弱かったのですがアメリカのブドウの木はフィロキセラに強いと言うことが判明し、根(土台となる木)をアメリカ系のブドウの木にしてその上にヨーロッパ系のブドウの木をくっつけるといういわば移植の様な手法をとることで解決しました。

現在でも世界中のワイン生産地ではほぼ全てこの手法でブドウが栽培されていることから、ワイン造りを大きく変えてしまった事件と言えますね。接ぎ木をせずに栽培することを自根栽培といい、これが出来るのはフィロキセラの被害を受けなかったチリ、アルゼンチンやオーストラリアの一部の地域のみで自根栽培が行われています。

余談ですがフランスにも奇跡的にフィロキセラを免れた純粋な原木から作られるワインもあったりしますが、とんでもなく高価です・・・

今回はフィロキセラというブドウ最大の敵についてでした!

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